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CULTURE プティマインが触れるカルチャー

MAMA TALK. vol.4

島野真希

 

憧れのお仕事をしているおしゃれママの子育て術、お仕事術を紹介するこのコーナー。

今回は、3児のママで書道家・カリグラファーとして活躍する島野真希さんにお話を伺いました。

 

 

書道家・カリグラファー
島野真希 Maki Shimano

 

習いごとの一つとして幼い頃から書道を始め、その世界に魅了され、ブライダル業界でウェディングプランナーとして在籍しながら筆を持つ仕事にも携わる。結婚・出産を機に退職後、本格的に書道家として始動。時同じくしてしてモダンカリグラフィーの世界を知る。まだ日本に先駆者がいないかったため、海外のカリグラファーから手ほどきを受け、独学で学ぶ。洗練されたウェディングアイテムや和と洋を組み合わせた独自の世界観に定評がある。

 

 

幼い頃から続けてきた書道が
ライフワークになったきっかけ


結婚式のウェルカムボードやペーパーアイテムなど、華やかな席に彩りを添えるアイテムとして近頃よく見かけるようになったおしゃれなカリグラフィーデザイン。プロの書道家・カリグラファーとして活躍する島野真希さんは、そんな日本でのモダンカリグラフィーシーンを広げてきた第一人者です。文字のプロとして活躍するようになったのは、会社員時代のある経験がきっかけだったそう。

「大学卒業後、入社したのがPlan・Do・Seeというウエディング事業の会社で、3年間ウエディングプランナーをしていました。ある時社長の目に触れるところで文字を書く機会があり、私の書いた書を社長がすごく気に入ってくだって。それから店舗のロゴや、おせちのお品書き等、社内の筆字が必要なところで私の文字を使っていただくようになったんです」。

20代半ばでの結婚・出産
働き方を見直し専業主婦に


幼少の頃から大学進学のため上京するまで、地元の香川で書道を学んでいた島野さん。長年書道を続けてきたものの、当初はプロとして文字を書くことは全く考えていなかったのだとか。しかし結婚を機にプランナーの現場を離れ、第一子を授かったことをきっかけに、今までの働き方やキャリアプランを考え直すようになったそう。

「夫の『ライフスタイルが変わるんだから、会社のために働くんじゃなくて、自分のために働く仕事をしてほしい』という言葉が自分の将来を見つめ直すきっかけになりました。結婚・第一子の出産の時期は20代半ばとまだ若かったので、これから仕事が乗ってくるというタイミングでもあり、どんどんキャリアを積んでいる周りの同期や友人の姿に焦りを感じることもありました。でも、いざ復職した時の保育園やコストの問題などを天秤にかけて考えてみると、会社と私がそれぞれに求めることがマッチしないな...という結論になりました。そこで、一度退職して専業主婦になることにしたんです」。

モダンカリグラフィーとの出会い

しばらくは専業主婦として初めての子育てに奮闘していた島野さん。しかし会社員時代の同期が何気なく発した「専業主婦って日中は何をやっているの?」という言葉をきっかけに、子育てだけではなく、自分のために働く”ライフワーク”を真剣に探し始めるようになったそう。そこから、彼女の人生が大きく動き始めます。

「以前の勤務先の社長から文字の仕事の依頼が続いていたこともあって、書のプロでやっていきたいと思い始めました。そんな中、アメリカのウエディングシーンでモダンカリグラフィーが流行り始めていることを知り、直接海外のアーティストにコンタクトを取って独学でカリグラフィーを勉強しました。こんなに自由でモダンなカリグラフィーがもっと広まれば、日本のウエディングもさらに素敵になるんじゃないかなという直感がありました。これまで進化の少なかった日本のウエディング業界の”文字”の分野で、新しい道を切り開いていきたいと思ったんです」。

書道家のお仕事って?
子育てと両立する工夫


書道家・カリグラファーとしての仕事が軌道に乗り始め、島野さんの元には、ウエディングのペーパーアイテムや命名書など、様々な依頼が舞い込むように。職業柄、自宅で仕事をすることが多いという島野さんですが、3人の子育てをしながらどのように制作時間を捻出しているのかを尋ねると、書道家ならではの工夫や特徴が見えてきました。

「仕事と子育ての両立が完全にできているかというと自信はないんですけど、メリハリのある生活は心がけています。どうしても、書いた作品を乾かさないといけない時間があったり、書いている時に子どもがねえねえとやってくると文字がぶれてしまったりするので、子ども達がいない時か、寝静まっている時しか書けないんです。そうなると、必然的に早く起きるか遅く寝るかのどちらかになりますね(笑)。和の書を書く時は、一度心身をリセットして朝目覚めてから書く作品の方が自分としては上手く書ける気がしています。特に夏はすごく気持ちが良くて、朝焼けの中、家族みんなが寝ていて自分ひとりだけの時間に、いいものができる気がしています」。

守れない約束はしないこと。
自分で道を切り開ける子に育てたい


和の書と、洋のモダンカリグラフィーの両方を手がけるアーティストとして、多忙な毎日を送っている島野さん。そんな中でも子育てのポリシーとしているのが”子どもときちんと向き合い、自立心を育てること”。

「最近は仕事の量が増えてきたこともあり、ママお仕事ばっかり~と言われたりもします。昔と比べて兄弟も3人に増えたので、一人一人と過ごせる時間がさらに減っているということも寂しく感じる原因かもしれませんね。子どもとのコミュニケーションで気をつけていることは、できない約束をしないことです。子どもって、何気なく言った一言をとても良く覚えているので、それを破られたりした時にすごく傷つくようなんですね。だから、本人を傷つけるようなことはしないということと、子育てにもコーチングがすごく重要だと感じています。導く感覚がとても大事で、何かを子どもに聞かれても、答えをなるべく自分で探させるようにしています」。

子どもだから、わからないだろうと流してしまうのではなく、一人の人間として向き合って約束を守り、自立心を育てることを大切にする島野さん流の子育て。母として、働く大人の女性として、ぶれない芯の強さがとても印象的でした。「書は人なり」という言葉通り、しなやかで美しいのに、一本筋が通った島野さんの綴る文字は、これからも多くの人の幸福なご縁を繋いでくれそうです。



photographs : Nobuki Kawaharazaki
edit & text : Mami Miyazaki
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